事務職・その他

管理栄養士/看護師/薬剤師

栄養サポートチーム(NST)

栄養サポートチーム(NST)

栄養状態を整え、治療へとつなげる
患者さんの回復力を支える大切な役目

NSTとしての役割

栄養サポートチーム(Nutrition Support Team:NST)とは


人は病気やけがによって体が弱ってしまったり、うまく身体を動せなくなり食事ができなくなると、生きるために必要な栄養素(糖質、タンパク質(アミノ酸)、脂質、ビタミン、ミネラル)が摂取できなくなることがあります。その結果、低栄養状態となり免疫機能が低下することで、ウイルスなどによる感染症にかかりやすくなるなどの影響が生じます。そのため、病気やけがからの早期回復を促すには、「食事」と「栄養管理」が大切な要素となります。

栄養サポートチーム(Nutrition Support Team:以下、NST)は、患者さんの生活の基礎となる「食事・栄養」に対する評価や支援を行う専門の医療チームです。当院のNSTは医師、歯科医師、看護師、薬剤師、管理栄養士、臨床検査技師、理学療法士、言語聴覚士、歯科衛生士、事務などの多職種で構成されており、それぞれが持つ知識や専門性を活かし、多角的に栄養支援を行っています。

NST専門療法士とは?

NST専門療法士は一般社団法人日本臨床栄養代謝学会(JSPEN)が認定する資格です。
NST専門療法士資格の取得には、管理栄養士や看護師等などの国家資格の有資格者であることに加え、栄養サポート業務の実務経験年数の他に、認定教育施設での講習・実習などの要件が定められており、これらを満たすことでようやく受験資格を得ることができます。当院ではNST専門療法士の有資格者や、栄養に関する高い知識と専門性を持つスタッフによって、患者さんの栄養サポートを行っています。

NSTの仕事の内容

当院の場合、まず各病棟にNSTリンクナース(NSTと病棟の間で、情報を繋げる架け橋の役割を持つ看護師)を1~2名配置しています。病棟に入院されている患者さんのうち、栄養面での支援が必要な方がいればNSTに連絡があります。NSTではその患者さんの栄養改善について各専門職が意見を出し合い、適切な支援方法を検討します。そうして出た意見や見解を、主治医や病棟にフィードバックしています。

※より詳しい活動内容については下記のページをご覧ください。

栄養サポートチーム(NST) | 岡山済生会総合病院・岡山済生会外来センター病院
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栄養サポートチーム(以下NST)は、院内で活動している医療チームのひとつであり、患者さんの生活の基礎となる「食・栄養」に対する取り組みをしています。
https://www.okayamasaiseikai.or.jp/sector/team_nst/

NSTとして働くスタッフのインタビュー

当院でNSTとして働くスタッフに、実際の仕事の様子ややりがいなどについてインタビューを行いました。「栄養の面から人の役に立ちたい」「NSTとして働きたい」と考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。


NST Interview-01:管理栄養士

NST管理栄養士

-普段の管理栄養士としての業務とNSTの業務の違いは何ですか?

私たち管理栄養士は、日々患者さんへの栄養指導や教育に取り組んでいます。しかし、NSTでは栄養の「管理」が中心となります。患者さんの状態はさまざまで、特に栄養状態が悪い場合、その後の回復に日数を要することがわかっています。治療と適切な栄養摂取は、より良い回復を促進する上で欠かせない2つの柱です。患者さんが入院した際には、私たちNSTのメンバーは患者さんの栄養状態を重点的に管理し、チームで最適な栄養治療計画を策定します。

-管理栄養士としてNSTにどのように携わっていますか?

当院のNSTの活動は、毎週実施されるNSTカンファレンスと病棟回診がその中核を成しています。NSTカンファレンスでは、低栄養状態にある患者さんの情報を事前に管理栄養士がまとめ、特に多職種での検討が必要なケースについてチームで栄養治療計画を検討します。カンファレンスで対応できなかったケースについてはNSTメンバーが病棟回診を行い、現場の看護師などと相談して改善策を提案します。NSTへの介入依頼は医師や病棟のリンクナースからも行えますが、年々依頼数が増加しており、NSTの重要性が増している実感があります。

NSTカンファレンスには、医師、歯科医師、看護師、薬剤師、臨床検査技師、理学療法士、言語聴覚士、歯科衛生士、医療事務員など、さまざまな職種が参加しており、管理栄養士が司会進行を務めます。各職種からの異なる視点に基づく情報や提案があり、栄養士だけでは考えつかないような新たなアイデアや改善案が生まれ、毎回、意義深い場となっています。

NST管理栄養士-2

-NSTとしてのやりがいはどのようなときに感じますか?

NSTが介入した患者さんについては、入院から退院・転院までの全プロセスで栄養状態の確認を行っています。当院は急性期病院なので、患者さんの容体が安定したら地域の病院に転院となるケースが多いです。その際には、転院先の医療機関に患者さんの栄養状態を詳細に伝え、栄養に関するサポートが途切れないよう連携を図っています。無事に転院・退院をされるその日まで、NSTでは患者さんに必要な水分量や栄養素、排せつの状況などの健康状態を、検査値などと照らし合わせながらサポートしています。患者さんの中には、口からの食事が可能な方もいれば、不可能なために静脈栄養や経腸栄養が必要な方もいます。これらさまざまな患者さんお一人おひとりに対して、病棟担当の栄養士と協力しながら食事の量や提供方法を調整しています。そのような働きかけを行うことで患者さんが良くなれば、NSTとしてお役に立てていると嬉しく感じます。

-NSTの活動を通じて管理栄養士として成長を感じることはありますか?

私は日本病態栄養学会が認定する病態栄養専門管理栄養士の資格を取得して、NSTとして活動しています。日々の業務をこなしながら、さらにNST専門療法士資格取得に必要な研修を受けることは困難と感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、他の資格を活用してNSTとして働く道もあります。

当院のNSTメンバーには、日本臨床栄養代謝学会の認定医資格を持つ医師や、NST専門療法士資格取得者など、栄養に関する豊富な知識を持つスタッフが多く在籍しています。私もこれまで管理栄養士として栄養に関する知識は深めてきましたが、患者さんの栄養管理を提案する立場では栄養以外にも疾患や治療、薬に関する幅広い知識が求められます。また、栄養サポート活動とは別に、手術前・後の患者さんの栄養管理を行う周術期管理がありますが、従事するためにはNSTでの経験が3年以上必要です。このように、NSTで活動し、経験を積むことは管理栄養士としてのキャリアにも大きなプラスになると考えています。栄養面だけでなく、疾患や治療についてより広く学びたいと考えている方は、ぜひ一緒にNSTとして活動してほしいと思います。


NST Interview-02:薬剤師

NST-薬剤師-1

-薬剤師としてNSTにどのように携わっていますか?

患者さんに輸液や経口栄養補給剤を使用する際に、その患者さんが服用しているお薬との相互作用も踏まえた検討を行うようにしています。例えば通常の食事や経腸栄養だけでは適切な栄養が摂取できない患者さんの場合、点滴による栄養補給が必要となることがあります。その際に、使用する輸液に必要なカロリーが足りているか、また、タンパク質が不足している患者さんであればアミノ酸製剤の投与も検討していただくよう、お願いすることもあります。

-NSTとして活動をする中で、印象に残っていることはありますか?

以前にNSTで改善案を検討した患者さんの中に、消化器官には異常がないにもかかわらず、食欲が出ず栄養状態が悪化している方がいました。もしかすると飲んでいる薬の影響があるのではないかと考え、カルテを確認したところ、複数の薬が処方されていることがわかりました。例えば胃薬などでも食欲低下につながるケースがあります。そこで患者さんの状態を確認し、今の状態ならこの薬は飲まなくても良いのではないかと、減薬の提案をさせてもらったことがあります。その結果、その患者さんは無事に食事がとれるようになりました。このようにうまくいくケースばかりではありませんが、薬による悪い影響をできるだけ防ぐという視点で関わることで、NSTの薬剤師としての役割を果たすことができると実感しました。

-NST専門療法士の資格はどのように取得されましたか?

NST専門療法士の資格取得には、栄養サポートチームとしての5年の実務経験が必要となりますが、同じく受験資格要件になっている研修会にはいつからでも参加できるので、チームに入ってからすぐに研修に行かせてもらいました。無事に5年間の経験を積み、6年目には資格を取得しました。資格取得までは時間が必要でしたが、その間もNSTメンバーの一員としてカンファレンスに参加したり、病棟回診を続けられたことで、モチベーションを保つことができたと思います。

NST-薬剤師-2

-NSTの活動を通じて薬剤師として成長を感じることはありますか?

私にとってNSTとして活動することで、薬剤の面だけでなく、栄養やその先にある生活のことなど、さまざまな面から患者さんのことを考えられる良いきっかけとなりました。医師や他の職種の方々もそのような視点で患者さんのことを考えられているので、チームの一員として活動するうちに自分自身の視野も広がりました。今後も患者さんの退院だけでなく、その先の生活を見据えた適切な薬剤の提案を行っていきたいと考えています。


NST Interview-03:看護師

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NST-看護師-3

-看護師としてNSTにどのように携わっていますか?

NSTはそれぞれの専門職の集まりなので、疾患や治療については医師、お薬については薬剤師、食事については栄養士など、それぞれの立場から患者さんにとっての最善の方法を考えます。 例えば食事や栄養に関して一番詳しいのは、やはり栄養の専門家である栄養士さんです。ですが、実際に患者さんに栄養剤を投与する際には、どのような方法で投与するのか、手順や細かい手技はどのようにするかなどの検討が必要になります。そのような時に、患者さんのケアを行う立場として私たち看護師から提案をするようにしています。

-NSTとして活動をするようになって、以前と比べて変化はありますか?

NSTとして活動を始めてからは、それまでと比べて採血検査の結果でも、栄養に関する項目により注意を払うようになりました。看護師が患者さんの栄養状態を直接確認し、患者さんにお出しする食事の形態を栄養士さんと相談することもあります。そのようにして、食事を食べられなかった患者さんが食べられるようになったときなどには、看護師としてチームに携わることに意義を感じています。
当院ではNSTと病棟をつなぐ役割を担うNSTリンクナース(看護師)が各病棟に配置されています。そのため、看護職全体で患者さんの栄養面を気にかけ、何か気になることがあれば専門チームに相談するという流れが整っていると感じています。私自身としてはNST専門療法士の資格を取得したので、その知識を活かして、今後もより積極的に患者さんに関わっていきたいと思っています。

-NSTカンファレンスはどのように開催されていますか?

NST-看護師-4

まず、誤嚥性肺炎や経腸栄養をしている患者さんは必ずリストアップし、NSTカンファレンスで栄養にかかわる問題点を検討するようにしています(※誤嚥性肺炎になる患者さんは飲み込みがうまくできない状態であったり、経腸栄養の患者さんは栄養状態の評価が必要であったりするため)。その他にも、医師やNSTリンクナースから連絡のあった患者さんについても検討リストに挙げています。事前にリストが共有されるため、カルテで患者さんの状態確認や情報収集を行い、どのような改善が提案できるか考えてからカンファレンスに参加しています。カンファレンスでもカルテを確認しながら進めますが、看護師が主に扱う書類や経過表が必要になるときには、ファイルの場所をすばやく提示できるようにしています。

-NST専門療法士の資格をお持ちですが、取得して良かったことはありますか?

NST専門療法士の資格を持っていないとNSTで活動できないわけではありません。ですが、患者さんにより良い栄養療法を提供するためには、NST構成員としての必要な知識を身につけておくことが望ましいです。私も当初は、岡山大学病院で開催されたNST構成員用の研修プログラムに参加しました。しかし、せっかく勉強をするのなら、その先のNST専門療法士資格取得を目指してみてはどうかと勧められ、受験への挑戦を決めました。

資格取得を通じて知識が増えたことで、例えば患者さんに投与する点滴も、この場合はアミノ酸がいいのではないか、などと自分で考え、提案できるようになりました。さらに、知識が深まることで、カンファレンスで飛び交う専門的な用語の意味もより理解ができるようになり、参加をすることが楽しくなりました。

-NSTでの活躍を目指す方へのアドバイスはありますか?

やはり患者さんにはしっかり口から食事を取れるようになって、ご自宅で元気に過ごす時間を増やしていただきたいと思っています。当院のNSTは多職種によるチームで、歯科衛生士さんも参加しています。これだけたくさんのエキスパートの知識や力が借りられることを後輩の看護師たちにも知ってもらい、仲間が増えれば、患者さんの回復もより進むのではないかと考えています。患者さんの栄養状態を良くしたいという同じ目的を持つ仲間が増えるのはとても嬉しいことなので、興味がある方はぜひ一緒に働きましょう。


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