栄養サポートチーム(NST)
役割
栄養サポートチーム(以下NST)は、院内で活動している医療チームのひとつであり、患者さんの生活の基礎となる「食・栄養」に対する取り組みをしています。
NSTの役割
- 当初の栄養状態の評価を行って低栄養状態の患者を抽出
- 栄養治療計画を立案
- その治療介入により栄養療法が適正に行われているかを再評価
必要があれば幾度も修正しながら、主治医をはじめメディカルスタッフ全体に対して、栄養療法内容の指導や提言を随時行っています。
発足
NSTは、現在稼働中の当院医療チームの中でも活動歴は長く、2003年にランチミーティングとして職員が栄養状態についての検討が必要な患者さんの意見交換を行う形態から始まりました。2005年から現在の全科型病棟回診や症例検討により入院患者の栄養管理を行っています。
構成メンバー
医師、歯科医師、管理栄養士、看護師、薬剤師、臨床検査技師、理学療法士、言語聴覚士、歯科衛生士、医療ソーシャルワーカー、事務員の多職種で構成され、それぞれの専門性を活かして患者さんに適正な栄養管理を行っています。
なお、NSTリンクナースは各病棟1~2名おり、随時、病棟でNST介入の必要な症例を拾い上げ、チーム回診時に症例提示を行います。
活動状況
入院部門
病棟回診
NST回診は火曜日午後と金曜日午前の週2回実施しています。1年間の回診回数は80回以上に及びます。
低栄養患者や経管栄養患者等の栄養状態の評価を行い、栄養治療計画を立案して主治医へ提案しています。そして、定期的に再評価し、栄養改善に努めています。看護師より、各病棟で病状からNST介入の必要な症例の拾い上げを行い、管理栄養士と協力して食欲不振の患者さんには食事内容の変更や栄養補助職員の追加など、一人ひとりに合わせた食事の調整を行います。
口腔内、特に歯に問題のある方には歯科医師や歯科衛生士が介入し、口腔環境を整えて口からおいしく食べられるようにしています。また薬剤師から、輸液や内服薬の見直しを提案しています。
地域医療連携
入院患者で中心静脈栄養や経腸栄養を実施している患者の転院時には、栄養管理情報提供書を作成し、医師や看護師、理学療法士の診療情報提供書類とともに添付し、栄養管理についても具体的な内容が情報共有できるようにしています。
院内安全管理
経腸栄養を中心として、経腸栄養用ポンプやチューブの選別や使用法の指導、マニュアル作成にもNSTが関わっています。
外来部門
炎症性腸疾患(IBD)勉強会の運営
潰瘍性大腸炎やクローン病を中心とした炎症性腸疾患患者を対象に勉強会を定期的に開催し、2007年以降計19回実施しています。この勉強会では、栄養療法だけでなく、治療や日常生活指導など多岐にわたる内容を取り扱っています。
医療スタッフへの知識の普及・共有
各病棟にはNSTリンクナースが1~2名います。NSTリンクナースは年単位で交代制となっており、多職種によるNST勉強会に月1回は出席し、院内での栄養管理の一元化に役立てるとともに、知識の共有や看護全体のレベルアップにつなげています。
研修医をはじめ、医師やメディカルスタッフ全体への教育、専門とする科を問わず全科に共通する認識として、臨床栄養に関する知識を深めることを目的とし、栄養カンファレンスを年2回実施しています。