放射線技術科

放射線技術科

放射線技術科の概要

放射線技術科では、胸部、腹部、骨などの一般撮影、バリウム(造影剤)を使用して胃、大腸などの消化器撮影、骨粗鬆症などの診断に有用な骨密度測定、乳がん検査に必要なマンモグラフィ、X線を用いて体の横断像を撮影するCT、強力な磁力を用いて体の断面を撮影するMRI、微量の放射性医薬品を体内に投与して、ガンマカメラを使用してさまざまな部位の血流、代謝、機能など検査する核医学検査、全身各部位の血管を撮影する血管撮影、高エネルギーのX線や電子線を使用して体外から病巣を治療する放射線治療などを行っています。診療放射線技師40名と事務員5名、看護師2名が所属しています。(2025年4月現在)

診断機器一覧(2025年4月現在)

診断機器入院棟外来棟
一般撮影装置2台3台
X線TV装置3台2台
CT装置2台2台
MRI装置1台2台
SPECT-CT1台
血管造影IVR装置2台
放射線治療装置1台
乳房撮影装置1台
骨密度測定装置1台1台

検査紹介

一般撮影

一般撮影とは、世間一般的にレントゲンと呼ばれるX線写真撮影(Radiography) です。X線が身体を透過した際の減弱を利用して、白黒の濃淡をつけた画像を得ることが可能です。胸部や腹部では、心臓の大きさや肺の陰影、腸管のガスなどを観察できます。また、全身の骨を容易に撮影可能です。日常の診療、救急の現場において、なくてはならない重要な検査です。撮影部位によっては、衣服の金属類、プラスチック等により診断の妨げになるため更衣が必要な場合があります。息止めが必要な撮影部位もあります。妊娠中あるいはその可能性がある患者さんはスタッフに必ず申し出て下さい。

乳房撮影

マンモグラフィ検査では、乳房を片方ずつ圧迫板で挟み込み、薄くして撮影します。圧迫による痛みには個人差がありますが、適切な圧迫で撮影すると、立体的で厚みのある乳房が広がり、乳腺や脂肪、血管などの組織と病変との区別がつきやすくなります。
また、乳房の厚みを薄くすることによって、線量を減らすことができ、余分な被曝を軽減することができます。通常の検査は、更衣から撮影終了まで10分~15分程度かかります。
撮影はマンモグラフィ認定の女性技師が担当します。
マンモグラフィ検診施設認定を受けています。
毎月勉強会を開催し、技術の向上に取り組んでいます。

X線TV検査

X線テレビ室は、連続的にX線を出してリアルタイムに透視して体の中を観察することができます。胃や大腸、腎臓などX線で描出されにくい部位では造影剤というX線に写りやすい薬を入れて検査します。
また食道や胃を撮影するためにバリウムを飲んで検査する上部消化管検査や、体の中の尿や膿瘍などを体外に出すチューブの挿入や交換など、検査や治療は多岐にわたります。

CT検査

CTは身体の輪切りのイメージを作成できる検査で、ドーム型の形をした装置の中を移動しながら撮影します。専用のベッドに寝ているだけで撮影が終了する簡単な検査で撮影時間は数秒です。また病気の発見や手術に必要であると医師が判断した場合、腕の静脈から造影剤という薬剤を注射しながら撮影します。

当院では手術で必要とされる細かな血管が描出できるよう工夫して撮影しており、医師が手術のシミュレーションをよりリアルに行うことが可能な3次元画像の作成に取り組んでいます。そして最新装置を駆使することにより、医療被ばくの低減に加えて画質向上を可能にしています。さらにMRI検査でしかわからなかった骨挫傷や陰性胆石などの描出や、体内金属から受ける画質不良の改善にも積極的に取り組んでいます。

CT検査を受ける際には注意を要する項目がありますので、以下に示す項目に該当する場合はスタッフにお申し出ください。

  • 妊娠されている方
  • インスリンポンプ・持続グルコース測定器を使用されている方
  • 埋め込み型除細動器・ペースメーカを使用されている方
  • 造影剤を使用する方
  • 造影剤副作用カードを持たれている方
  • 糖尿病薬(ビグアナイド系)を服用されている方
  • 喘息の方
MRI検査

MRI検査は強力な磁石の力を利用して画像を撮影する検査です。X線を使わず磁石を使った検査なので放射線による被ばくはありません。

磁石を使った検査のため、検査室内に金属を持ち込むことはできません。また、時計や携帯電話などの電子機器は持ち込むと壊れてしまいます。そのため検査着に着替え、貴重品はロッカーに入れていただきます。

検査はトンネル状の装置に約30分間動かないように寝ていただきます。その際、工事現場のような大きな音がするため、ヘッドフォンや耳栓をしていただきます。
全身どの部位でも検査することは可能ですが、精密に検査するために一度に検査できる範囲は限られています。

その他、MRI対応の心臓ペースメーカが入っている方の撮影や肝臓の硬さを画像化するMRエラストグラフィの撮影といった特殊な検査も行っています。

MRI検査で使用している磁石は、通常人体への影響はないとされ、安全な検査ですが、次の項目に該当する場合は検査を受けられないことがあります。

  • MRI非対応の心臓ペースメーカや人工内耳をされている場合
  • 妊娠中、または妊娠の可能性がある場合
  • 閉所恐怖症

安全のためスタッフから度々確認がありますが、ご協力をお願いします。
ご不明な点がありましたら、お気軽にスタッフに声をかけてください。

核医学検査(SPECT-CT)

患者さんに微量の放射性医薬品を投与し、目的の臓器や組織に集まる程度をガンマカメラを用いて撮影します。骨、腫瘍の検査は全身の撮影を行い、脳、心臓の検査では、SPECTといわれる断層画像を得る検査を行います。ガンマカメラで得た情報から、コンピューターを用いてデータを解析し、臓器の動きを知ることができます。検査用ベッドで20~30分静かに寝ている間に検査が終わります。

IVR・血管造影

血管造影検査は、血管にカテ―テルという細い管を挿入して造影剤を注入し、病気や血管の診断を行う検査です。

IVRとは、X線透視の画像支援下に行う血管内治療や、CT透視支援下で体内の病変に針や管を挿入し、生検やドレナージ(膿瘍のうようの除去など)、RFA(ラジオ波を用いて腫瘍を焼灼する治療法)などの処理の総称です。

詳細についてはIVRセンターのリンクをご覧ください。

IVR・血管造影検査はレントゲン検査やCT検査に比べて放射線被ばくが多くなります。

診療放射線技師は、関連学会の策定したガイドラインなどに則り、診断参考レベルを活用して放射線量を評価し、診断目的や画質なども十分考慮した上で防護の最適化に取り組んでおり、患者さんの放射線被ばく低減に努めています。

放射線治療

当院で行っている放射線治療は、腫瘍や一部の良性疾患に対して、体外から高エネルギーのX線や電子線といった放射線をあてて治療を行います。

手術とは異なり患部を温存することが可能で、美容的、機能的に優れており、レントゲン撮影と同様に、放射線があたっても、痛みや熱を感じることもありません。

そしてイメージガイド放射線治療(IGRT)用リニアック装置を導入しており、3次元のCT画像を撮影することでより正確な位置決めが可能になり、高精度な照射の実現に適したシステムを採用しています。

また、当院でも強度変調放射線治療(IMRT)を始めました。この治療は、正常な場所を放射線照射から極力外し、腫瘍に集中して照射できる革新的な照射技術です。これにより合併症を軽減しながら根治性を高めた放射線治療が出来るようになりました。

当院では日本医学放射線学会の認定を受けた放射線治療専門医が常勤で勤務し、誤照射が起こらないよう「放射線治療専門放射線技師」「放射線治療品質管理士」「医学物理士」の認定資格を所有する診療放射線技師が細心の注意を払って治療にあたっています。

骨密度検査

エネルギーの異なる2種類のX線を用いて、軟部組織及び骨における各々の減弱の割合の差をコンピューターで計算し、骨密度を計測します。

2025年1月から骨密度装置の更新により腰椎正面撮影において骨密度ともに骨質の評価が出来るようになりました。骨密度と骨質を組み合わせることでより正確な骨粗鬆診断や骨折リスク評価が可能になります。

患者さんは仰臥位の楽な姿勢で体を動かさない様にして寝ているだけで検査が行えます。骨粗鬆症の診断に有用であり、骨密度を知ることで骨折の予防にもつながります。
検査時間は、5分~10分です。

被ばくについて

Q1.医療被ばくの考え方は?

診断や治療の目的で受ける被ばくを医療被ばくと言います。
放射線検査を行う場合には、検査の利益とリスクを考えて利益が十分上回る場合に行われ、線量は必要最小限に管理されています。

  1. 臨床的な利益が、被ばくや検査によるリスクを十分上回る場合にだけ行います。
  2. 検査が必要な場合、放射線を使用しない代替診療と比較検討します。
  3. 臨床上必要最小限の線量で検査を行います。
Q2.放射線に被ばくするとどうなるの?

人体への影響の発生する確率が上がります。

確率的影響

しきい線量はなく、被ばく線量に応じて影響の発生率が確率的に上昇します。分類としては、がん・白血病・遺伝的影響が該当します。

確定的影響

しきい線量があり、これを超えると影響が発生します。線量が増えると症状が重症化します。確率的影響以外の症状・疾患が該当します。
上記でもお示ししたように人体への影響が発生する確率は上がりますが極めて低い確率であり、障害が発生しないように十分配慮して検査を行っています。

Q3.普段の生活の中で被ばくすることってあるの?

普段生活していても自然界から被ばくしています。日本では1.5mSv、世界平均2.4mSvの被ばくを食べ物や宇宙からの紫外線より受けています。ちなみに検診などで受けている胸部X線は約0.1mSvの被ばくであることを考えると、普段の生活の中で被ばくしている量の方が高いことがわかると思います。

Q4.放射線を使用する検査は何度受けても大丈夫なの?

検査する種類や部位によって被ばく線量は異なります。
例えば胸部X線検査を3回撮影すると、約0.3mSv~0.4mSvを被ばくします。この量は、私たちが受ける自然放射線量の約1/6であり、ごくわずかの量であると考えられますので心配はいりません。
あとはQ1でお話ししたように検査の利益とリスクを考えて利益が十分上回ると医師が判断した場合、患者さんの同意のもと必要最小限に線量を抑えつつ検査を行っています。

Q5.子どもと大人で放射線による影響は違うの?

放射線による感受性が子どもの方が高いため、影響を受けやすいとされています。当院では検査に使用する放射線の量を調整し、被ばく低減に努めています。

Q6.放射線を受けると妊娠できにくくなるの?

不妊につながる被ばく線量は下腹部に約3000mSvを超える量を受けた場合ですので、通常の放射線を使用する検査では問題ありません。

放射線の検査を受ける前や受けていて何かわからないことや不安なことがあれば、お気軽にスタッフにお尋ねください。

認定資格

診療放射線技師 資格一覧表

資格名称人数
救急撮影技師認定2
X線CT認定技師5
肺がんCT検診認定技師4
画像等手術支援認定診療放射線技師5
上級磁気共鳴(MR)専門技術者1
磁気共鳴(MR)専門技術者1
日本血管造影インターベンション専門診療放射線技師1
放射線治療専門放射線技師2
放射線治療専門放射線技師補1
放射線治療品質管理士2
医学物理士1
検診マンモグラフィ撮影認定診療放射線技師10
胃がん検診専門技師2
胃がんX線検診読影部門B資格1
医療情報技師1
第1種放射線取扱主任者3
第2種放射線取扱主任者1
第1種作業環境測定2
乳がん検診超音波検査実施技師1

(2023.4月現在)