腎不全とは
腎不全とは腎臓の働きが、正常の30%以下に低下した状態をいいます。
腎不全には急性腎不全と慢性腎不全があります。腎不全は初期には無症状のことが多く、進行するにつれて様々な症状が出現してきます。腎不全の症状を腎臓の七つの働きと照らし合わせてみましょう。
1. 尿毒素がたまる
- 消化器の症状…食欲がない、吐き気がする、口臭がする
- 精神・神経の症状…記憶力・思考力の低下、怒りっぽくなる、不眠
- 貧血症状…息切れ、動悸(胸がどきどきする)
- 皮膚の症状…皮膚が黒っぽくなる、かゆみ
- 呼吸器の症状…呼吸困難(肺うっ血、肺水腫)
- 眼の症状…視力低下、眼底出血
- 内分泌系の症状…女性は生理不順・男性では女性化乳房、小児の発育不全
- その他…感染症を起こしやすい、出血しやすい
2. 水分がたまる
体の中では次のような変化が起こります。
- 循環血液量が増加する(血液が薄まる)
- 血管内に血液の量が多くなり、血管に負担がかかる(血圧が上昇する)
- 心臓が大きくなる(心胸比が大きくなる)
- 肺に水がしみだす(肺水腫)
そして実際には次のような症状が現れます。
- むくみ
- 動悸・息切れ・呼吸困難
- 咳・たん
- 胸痛・胸が重苦しい
- 寝ていると息苦しく、起きていると楽(起座呼吸)
3. 電解質の調節ができなくなる
- ナトリウムがたまると→口渇・むくみ・血圧が上昇する
- カリウムがたまると→手指がしびれる・口唇がしびれる・だるい・胸が苦しい
- リンがたまると→カルシウム沈着による関節の痛み・かゆみがある
- マグネシウムがたまると→吐き気がする、嘔吐する
4. 血液が酸性に傾く
腎臓でアルカリ性物質が作られないため、酸性物質を中和できなくなります。そのため血液が酸性に傾き、呼吸や電解質の異常が起こり、ひどくなると生命に危険を及ぼします。
5. 貧血になる
造血刺激ホルモン(エリスロポエチン)の分泌低下によって貧血がおこります。尿毒素によって血液が壊されたり、出血したり、食欲が低下するなどの理由で貧血が助長されます。
6. カルシウム代謝異常がおこる
腎臓でビタミンDが活性化されないために血液中のカルシウムが不足し、骨がもろくなり骨折しやすくなります。
7. 血圧が上昇する
高血圧のほとんどの原因は、尿量が減少し、水分・塩分がたまることによるものです。レニンの過剰な分泌によって血圧が高い人が時にみられます。