手の外科・上肢の外科
今谷医師が専門分野として担当しているのは、上肢の外傷、肩関節・肘関節・手関節などの関節外科と手の外科疾患全般であり、これらの年間手術件数は約600例以上です。
手および上肢の外科に対する治療原則:手術においても手術以外の治療においても、極めて緻密な手・上肢の機能を回復させるために、繊細かつ正確な手技を用いて治療にあたっています。
医師、看護師、理学・作業療法士などが協力して、より良い手の機能の回復、早期社会復帰をお手伝いします。
(Ⅰ)保存的治療
(手術外の治療法)
ギプス治療、裝具療法、理学・作業療法などを中心としています。
(Ⅱ)手術的治療
下記のごとく、手の外科・上肢の外科分野でさまざまな手術を行っております。
- 骨折:的確な内固定材料を選択し最小の侵襲(手術が身体に与える影響)で最大の初期固定性の獲得、早期リハビリテーション・早期社会復帰を目標にしています。
- 屈筋腱損傷:手の外科の中で最も治療が難しい外傷の一つとされる指部分の屈筋腱(指を曲げるためのひも状の組織)損傷に対して、強固な腱縫合修復術・リハビリテーション(早期自動屈曲療法)を導入しています。
- 肩関節・肘関節・手関節などの関節鏡を用いての最小侵襲手術も採用しています。
- 各種関節疾患に対しての靱帯修復術、靱帯再建術、関節形成術、人工関節置換術などを行っています。
- 手の拘縮、末梢神経障害、運動・知覚再建手術、先天奇形などに対する再建手術、顕微鏡下手術(マイクロサージャリー:神経・血管縫合術など)も行っています。
(Ⅲ)考案・開発した治療法
ONI transcondylar plate
難治性骨折とされ、よい手術方法がなかった高齢者の上腕骨のひじ関節部分の骨折に対して、今谷医師などが独自に開発した内固定材料-ONI transcondylar plate-は平成10年の厚生省認可後、平成17年特許取得(全国の他施設での使用件数約700例=平成17年、平成16年9月22日、山陽新聞掲載)。
このplateの強度試験や生体力学的な研究、さらには同部分の骨梁構造の組織学的検討などの基礎的な研究も平行して行っています。
- 写真は独自に開発した世界初の上腕骨遠位端部専用のロッキングプレート、ONI transcondylar plate。
屈筋腱損傷
手の外科の中でも最も治療が難しい外傷の一つとされる指部分の屈筋腱損傷に対し、その修復術後に、特殊なリハビリテーション(早期自動屈曲療法)を用いることによりきわめて良好な手の機能が得られています。
- 下記は33才、右示指屈筋腱損傷、腱修復後早期自動屈曲療法施行後
コンピューター支援手術
骨折が変形して癒合してしまった症例などに対して正確な骨の矯正手術を行うためにCTの画像データをもとにコンピューター上で術前シミュレーションを行い、骨切り矯正角度を決定する方法を行っています。
- 前腕骨折変形癒合例に対するコンピューター支援手術
最小侵襲プレート骨接合術
一部の上肢骨折に対して、小さな皮膚切開部分よりプレートをすべりこませて、骨折部を直接みないで内固定する最小侵襲プレート骨接合術も導入しています。
上肢疾患勉強会
年に1-2回ほどテーマを設けてオープン勉強会を開催しています。今谷医師の主題となった疾患についての講義の後、実際に経験した症例を呈示してケース会議を行っています。またこの討論の結果をもとに疾患ごとのクリティカルパスを作成しています。院内外の看護、リハビリ、医師の各部門が意見交換を通じて各々のさらなる診療レベルの向上を目指しています。