「かくれ脱水」に要注意!
脱水症は夏に多い印象がありますが、実は一年を通して起こる可能性があります。
特に春先など季節の変わり目は、気温の変動が激しい一方で身体の準備が整っておらず、体温調節機能がうまく働かないことがあり、特に注意が必要とされています。
また、高齢の方では、温度に対する感覚の低下、脳にある口腔内の渇きを感じる口渇中枢の機能低下、体内の水分量の減少などによって体温調節がしにくくなるため、脱水症になるリスクが高まります。

体内の水分量が1 ~ 2%失われることで起こる軽度の脱水状態を「かくれ脱水」といいます。
かくれ脱水がさらに進行すると、熱中症を引き起こす場合があります。実際に熱中症と診断された方で、原因が脱水と判明することも少なくありません。
脱水にならないためには、どのようなことに気を付けたらよいでしょうか?
高齢者が脱水症になりやすい原因は?
高齢者が脱水症になりやすい原因の主な理由として、以下のようなものがあります。
原因1:体内の水分量が減っている
食事の全体量が減ったり、嚥下障害によって水分摂取量が減ったりすると、体内の総水分量が不足し、脱水症を引き起こすリスクが高まります。
また、筋肉は体内の水分を蓄える役割を持っています。加齢により筋肉量が低下すると、体内の水分量が減少し、脱水症の原因のひとつになると考えられています。

原因2:腎臓機能が低下している
加齢による腎臓機能の低下も、脱水症の原因になると考えられています。
腎臓は体内の水分量を調整する役割がありますが、機能が低下すると体内に必要な水分や電解質を留める力が弱まってしまいます。
これにより体液のバランスが崩れ、脱水症を引き起こしやすくなります。

原因3:のどの渇きに気づきにくい
加齢によって感覚機能が低下すると、のどの渇きに気づかないことがあります。
そのため、水分摂取量が減少し、脱水症のリスクが高まります。
また、認知症の影響から飲み物を飲んだかどうかを忘れてしまい、長時間水分をとらないまま過ごして脱水症になることもあります。

原因4:薬が影響している
服用している薬の影響で脱水症になることもあります。
血圧を下げる薬を服用されている場合、薬の種類によっては利尿作用があるものがあります。
尿の排出によって必要な塩分や水分が不足し、脱水症を引き起こすことがあります。

脱水は、脳卒中(主に脳梗塞)、心筋梗塞などの循環器疾患や深部静脈血栓症(エコノミー症候群)のリスクを高めます。
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脱水を引き起こさないために
脱水を引き起こさないために、次のようなことを意識して過ごしましょう。
脱水症予防のポイント
1日の必要水分量を把握しましょう

1日に1.2L~1.5Lの水分を摂取するようにしましょう。
ただし、 心臓病や腎臓病がある場合は、かかりつけの医師に相談してください。
こまめに水分補給を行いましょう

起床時、食事中、次の食事までの合間、入浴前後、就寝前のように、水分をとるタイミングを決めて定期的に水分補給することが大切です。
※本記事は広報誌「やわらぎ」(186号:2023晩秋号)に掲載したものをWEB用に再編集したものです。
この記事を書いた人
坂本 翔平(さかもと しょうへい)
資格
- 脳卒中リハビリテーション看護認定看護師
