がん治療の「免疫チェックポイント阻害薬」ってどんな薬?
免疫チェックポイント阻害薬とは?
免疫チェックポイント阻害薬は、さまざまな免疫細胞のはたらきを抑制する「免疫チェックポイント」を阻害することで、がん細胞に対する免疫を活性化・持続させる治療薬です。
一般的に、免疫細胞は体内に細菌や病原体ウイルス、がん細胞などの危険を察知するとはたらきが活性化し、異物に対して攻撃を行います。
ところが、免疫細胞の異物を排除する力があまりにも強いと、自分の身体まで傷つけてしまう可能性があります。そうならないように、免疫細胞には攻撃力を抑える機能も備わっています。
近年の研究により、がん細胞がこの仕組みを利用し、免疫細胞のはたらきにブレーキをかけることで排除されないようにしていることがわかってきました。

免疫チェックポイント阻害薬は、がん細胞によって抑制されていた免疫細胞のブレーキを解除し、再び免疫細胞を活性化させることで、がん細胞に対する免疫応答を高め、抗腫瘍効果を発揮します。

免疫チェックポイント阻害薬に副作用はあるの?
免疫チェックポイント阻害薬は、自分の免疫を活性化させるため、免疫が過剰にはたらくことによる副作用が現れる可能性があります。
この副作用は、従来の抗がん剤とは異なり、さまざまな症状として出現することが知られています。
また、症状には個人差が大きく、いつ、どんな副作用が起こるかの予測が難しいため、自宅でのセルフチェックが重要です。
副作用には、治療直後から現れるものだけでなく、治療が終了してから数週間から数か月経過後に現れるものもあります。
副作用が現れた場合には早期の治療が必要となるため、自身の身体の異常にいち早く気付くことが大切です。
どのような体調変化に気をつけたらいい?
免疫チェックポイント阻害薬による副作用に早期に気づくために、以下のような症状に気を付けましょう。
日頃から気を付けたい体調の変化
内分泌・代謝障害
- 頭痛
- 全身倦怠感、食欲低下
- 体重減少、多汗
- いつもより脈が速い(頻脈)、または遅い(徐脈)
- のどが渇く
- 多飲、多尿
など
肝・胆・膵障害
- 全身倦怠感
- 皮膚や目が黄色くなる
- 尿の色が濃くなる
など
背中や胸の痛み
- 尿が減った、出ない
- むくみ
- 腰や背中の痛み
など
消化管障害
- 下痢、腹痛
- 吐き気、嘔吐
など
眼障害
- 飛蚊症
- 見えにくい
- 眼のかわき
など
皮膚障害
- 皮疹
- かゆみ
など
肺障害
- たん、咳
- 呼吸困難、息切れ
- 発熱
など
心血管系障害
- 呼吸困難、動悸
- 発熱、全身倦怠感
など
神経・筋・関節障害
- 頭痛、めまい、けいれん
- 筋力低下、しびれ
- まぶたが重い
- 手足に力がはいらない
- 関節痛
など

当院では、治療前に問診表で体調確認をしています。加えて、日々の体調を治療日誌に記録し、普段と異なる症状がある場合には、医師や薬剤師、看護師へ相談してください。
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※本記事は広報誌「やわらぎ」に掲載したものをWEB用に再編集したものです。
この記事を書いた人
加藤 望(かとう のぞみ)
所属
化学療法センター
資格
- がん薬物療法看護認定看護師

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