自分の身体を大切に!乳房のことを考えてみる時間を作ってみませんか?

乳がんの多くは乳腺に発生するため、唯一自分で発見できる「がん」と言われています。罹患(りかん)率は30代後半になると急激に上昇し、発症のピークは40代後半と60代前半となっています。最近は20~30代前半に発症する「若年性乳がん」も増加しています。

乳がんにかかりやすい人とは?

女性ホルモンであるエストロゲンが分泌されている期間が長い人ほど、乳がんになる可能性が高くなると言われています。また、エストロゲン以外にも、“乳がんの発症に関連する因子”と言われているものがいくつかあります。下記の表の項目にあなたはいくつあてはまりますか?ひとつでも該当する方はもちろん、該当しなくても女性であれば乳がんにかかる可能性があることを忘れないようにしましょう。

乳がんを予防することはできませんが、乳がんになってもいち早く見つけるための行動、つまり早期に発見するための行動はできます。

乳がんの発症に関連する因子

  • 初潮が早い
  • 閉経が遅い
  • 初産が遅い
  • 出産歴がない
  • 授乳経験がない
  • 肥満(閉経後)
  • 喫煙・飲酒
  • 家族歴

早期発見のためにできることとは?

早期発見のために大事な行動は、自分の乳房のセルフチェック(自己検診)です。セルフチェックのベストタイミングは生理が始まって10日後です。閉経している方は覚えやすい日を決めて行いましょう。

例えば、毎月自分の誕生日や記念日をセルフチェック日と決めると忘れにくくなります。”しこり”の有無を調べるためには、お風呂でせっけんを用いて指をすべらしながら乳房に触れたり、就寝前に仰向けに寝て触れると乳房の凹凸(おうとつ)がよくわかり、”しこり”などの変化が見つけやすくなります。また、乳頭から分泌物がないかもチェックしましょう。

乳がん自己検診法
自己検診する時期

毎月1回(特に閉経前の方……月経が始まってから1週間後が望ましい)

自己検診する範囲
手順

*直接皮膚に触れた方がよいので、入浴時をおすすめします

チェックポイント

  • 乳房の変形や左右差がないか
  • ”しこり”がないか
  • ”ひきつれ”や”えくぼ”のようなくぼみがないか
  • ”ただれ”がないか
  • 乳首からの出血や異常な分泌物がないか

入浴前に鏡の前で

  1. 両腕を下げた姿勢で、乳房や乳頭を観察します
  2. 両腕を高く上げた姿勢で、正面・側面・斜めから乳房を観察します
  3. 乳頭を軽くつまみ、血のような分泌物がないか調べます

入浴中

  1. 腕をあげ、乳房の表面に「の」の字を書くようにして、”しこり”がないか調べます
  1. 指先をそろえてわきの下に差し入れ、リンパ節が腫れていないか調べます

寝る前に

  1. 仰向けになります(肩の下に薄いクッションなどを敷くと調べやすくなります)
  2. 腕を上げて、乳房の内側半分を指の腹で軽く圧迫しながら調べます
  3. 腕を下げて、乳房の外側半分を指の腹で軽く圧迫しながら調べます
  4. わきの下に手を入れ、”しこり”がないか指の腹で調べます

月に一度のセルフチェックを習慣化することで自身の乳房の変化に気づきやすくなったり、乳がんを意識した生活を送れるようになります。
また、定期検診を受けているから大丈夫というものではありません。中間期乳がんといい、検診を受けてから次の検診までの間に発見される場合もあります。

初期の小さながんはセルフチェックだけでは見つけられないこともあるため、マンモグラフィーや触診などの定期検診も忘れずに受診しましょう。

もし乳房の変化に気が付いたら??

少しでも異変に気づいたら、専門の医療機関(乳腺外科、乳腺科、乳腺内分泌外科)に相談しましょう。乳がんは適切な治療を受ければ決して怖くありません。

毎日を忙しく過ごしている方も多いと思いますが、ほんの少しの時間でよいので、自分の乳房のことを考えてみる時間を作ってみませんか?その数分があなたや家族の将来を大きく変えることになるかもしれません。今日から一緒に始めていきましょう。

※本記事は広報誌「やわらぎ」(149号:2017 秋号)および(166号:2020 夏号)に掲載したものをWEB用に再編集したものです。

この記事を書いた人

岡本 直美おかもと なおみ


所属

がん相談支援センター

資格

  • 乳がん看護認定看護師

この記事を書いた人

中島 幸恵なかしま さちえ


資格

  • がん看護専門看護師

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