大腸がん治療の現状
大腸がんの症状について
ポリープができた段階では、自覚症状はほとんどありません。ポリープが大きくなり、がん化すると、血便や下血、下痢や便秘を繰り返すようになります。粘膜の下層にまでがん化が進行すると、リンパ節、肝臓、肺などの他の臓器に転移することもあります。
早期発見のために検診が重要です。大腸がんの場合は40歳以上の方は年に1度は検診を受けることをおすすめします。家族に大腸がんと診断された方がいるなら、早めに検診を受けてもよいと思います。
治療の種類
発見が早い場合は、内視鏡治療で切除できることもあります。病気の進行度によって、手術、化学療法、放射線療法などの治療法を選択します。現在は、開腹手術のほか、直径1センチ程度の穴を5~6か所開け、内視鏡や手術の器具を入れて行う腹腔鏡手術、遠隔操作で細かい操作ができる手術支援ロボットの手術があります。腹腔鏡手術とロボットによる手術は、開腹するよりも患者さんへの負担が小さく、出血も少ないのが特徴です。
ロボット支援手術のメリット
患部や手術する範囲をモニターで細部まで立体的に確認できるので、イメージしたとおりの手術が行いやすいことです。当院では2019年に「ダビンチ」を導入しました。高度な技術を習得した医師が直腸がんの治療にあたっています。2022年は直腸がん患者さんの8割をダビンチで手術しました(8月現在)。骨盤深部での細かな手術が行えるため、性機能や排尿機能などを保持しながら肛門を残す手術が行いやすくなりました。
術前・術後のケアについて
安全に手術できるように基礎疾患の有無などに応じて十分な術前検査を行います。肛門近くの直腸がんの場合、術後に排便障害が起こることがあります。そのため、術前から骨盤底筋や括約筋のリハビリを行っています。入院は10日程度です。退院後は原則5年間、CT検査などで再発していないかどうかを確認します。