はじめての出産準備
妊娠おめでとうございます。
これから始まる新しい日々を迎えるにあたり、今、どのような気持ちでしょうか。喜びや幸せを感じるとともに、きっと不安な気持ちも少なからずあることでしょう。
そんな気持ちに少しでも寄り添えるように、妊娠期間に何をすればいいのか、どんな準備が必要なのかを、わかりやすく説明していきます。
妊娠1~2か月(妊娠発覚~妊娠7週)
いつもより生理が遅れているな…と思ったら、薬局などで妊娠検査薬を購入し、検査をしましょう。
妊娠検査薬で陽性を確認したら、産婦人科の病院やクリニックを予約しましょう。
当院での受診予約は、岡山済生会外来センター病院(伊福町)産婦人科外来にご連絡ください。
検査内容 | 診察・超音波検査(経腟)・尿検査 |
赤ちゃんの様子 | 妊娠5週ごろ 胎嚢(赤ちゃんが入っている袋)を確認できるようになります。 妊娠6週ごろ 赤ちゃんの心拍を確認できるようになります。 |
お母さんの様子 | 基礎体温を付けている人は、高温期が続きます。 倦怠感やお腹の張り、乳房の緊満など超初期の症状を感じる人もいます。 早い人では妊娠が発覚するころには「つわり」が始まる人もいます。 |
お父さんにできること
お母さんは少しずつ体に不調が出てきます。
今までできていたことができなくなったり、急に涙もろくなったり、きつく当たってしまう日もあるかもしれません。そんなときは、寛容な心でそばに寄り添ってあげてください。
注意点
- サプリメントなどを活用して、積極的に葉酸を摂取しましょう。
- 妊娠が発覚した後は、薬の内服については医師や薬剤師に相談しましょう。
- アルコールやたばこはやめましょう。
- 性生活は控えましょう。
妊娠3~4か月(妊娠8~15週)
妊娠8週ごろまでには医師から「親子手帳を受け取ってきてください」と言われます。住民票のある市町村の保健センターに妊娠届出書を提出し、親子手帳と健診で使用する無料券の冊子を受け取ってください。
当院の場合、その後の受診は岡山済生会総合病院(国体町)4階 西病棟にて行います。
検査内容 | 診察・超音波検査(経腟)・尿検査 妊娠8~10週ごろには、妊娠初期検査(血液検査・尿検査・子宮頸がん検診)が始まります。 妊娠12週からは妊婦健診が開始され、経腹超音波検査や助産師による妊婦指導が始まります。 |
赤ちゃんの様子 | 少しずつ人の形に近づいていきます。 超音波検査では、小さな手足が見えるようになります。 |
お母さんの様子 | つわりが本格的になってきます。 妊娠15週ごろにはつわりが楽になってくる人が多いですが、あくまでも個人差があります。 食べづわり、吐きづわり、眠気づわり、唾液づわりなど、つわりの症状にも個人差があります。 胎盤がほぼ完成します。早い人では、少しお腹がぽっこりしてきます。 |
お父さんにできること
この時期は栄養のことは気にせず、お母さんが少しでも「食べられるかも…」と言ったものを食べてもらいましょう。
注意点
- 軽い運動は行っても大丈夫です。
- 鉄分を意識して摂取しましょう。
- ほとんどの流産は妊娠12週までに起こると言われています。出血や下腹部痛がある場合は、早めに受診するようにしてください。
- 「つわりにより水分が取れない」「尿の回数が極端に減った」「めまいなど日常生活に支障がでる」といった症状がある場合は、入院が必要なこともあります。
仕事をしている人は、無理をせずに症状が落ち着くまでお休みしましょう(必要な場合は、医師が診断書を作成します)。
助産師からのアドバイス
親子手帳は、お母さんお父さんにとっても、赤ちゃんにとっても、一生の宝物です。
妊娠中から産後・育児に関することなど様々なことが記載されているので時間がある時に読んでみてください。
記入する箇所もたくさんあるので、将来、赤ちゃんが読むことを想像しながら書き込んであげてくださいね。
どこで出産をするのか、夫婦で話し合って決めましょう。里帰り出産をする場合は、転院先の病院に連絡をして、分娩予約をしましょう。「○週までに来てください」など、それぞれの病院によって指示が異なるため、注意が必要です。
妊娠5~7か月(妊娠16~27週)
妊娠5か月に入ると、一般的に「安定期」といわれる時期です。つわりが落ち着き、妊婦生活を楽しめるようになる頃でもあります。体調と相談しながら、旅行や買い物などを楽しみましょう。
検査内容 | 妊娠26週ごろから、妊娠中期検査(血液検査)が始まります。 |
赤ちゃんの様子 | 妊娠20週ごろには、性別がほぼ確定します。 自由に手足を動かし、ぽこぽこと運動するようになります。 しゃっくりをすることもあります。 |
お母さんの様子 | 初産婦さんは妊娠20週ごろ、経産婦さんは妊娠18週ごろから、胎動を感じ始める方が多いです。 この時期には、つわりが落ち着き、食欲が増して体重が増えやすくなります。 お腹が目立ち始め、妊婦らしい体形に変化してきます。 |
お父さんにできること
この時期になると、多くの赤ちゃんの性別が分かり始めます。
名前は、親から赤ちゃんへの初めての贈り物です。お母さんと一緒に「どんな名前がいいかな?」と考えてみましょう。
注意点
- 歯科検診に行きましょう。親子手帳の無料券には歯科検診も含まれています。ぜひ活用しましょう。
助産師からのアドバイス
妊娠5か月の戌の日に「安産祈願」をする風習があり、この頃から腹帯を巻く妊婦さんが多いです。ただし、これは強制ではありません。腹帯にもさまざまな種類があるため、自分に合ったものを選ぶようにしましょう。
つわりが落ち着いてくると食欲が増し、体重が増加していきます。一般的に妊娠全期間を通して10~13㎏の体重増加が必要とされていますが、個人差があります。自分がどのくらい体重を増やす必要があるのか、妊婦健診の際に助産師に確認しましょう。
妊娠8~9か月(妊娠28~35週)
検査内容 | 診察・尿検査 妊娠30週ごろには、クラミジア検査を行います。 |
赤ちゃんの様子 | 胎動がだんだんと激しくなってきます。 |
お母さんの様子 | 足がつりやすく、こむらがえりなどの症状が出やすくなります。 妊娠後期悪阻(つわり)が起きる方もいます。 血圧が上がる方が多くなります。 |
お父さんにできること
お母さんと一緒に、赤ちゃんの準備や入院時に必要なものの準備を進めましょう。
注意点
- 妊娠後期に入ると、血圧が上がる妊婦さんが多くなります。
- 育児用品や入院の準備を始めましょう。
- 産休に入ると、急激に体重が増える人が多いです。注意しましょう。
助産師からのアドバイス
お腹も大きくなり、妊娠線などができ始める時期です。朝の着替え前や入浴後に、ボディオイルやクリームをたっぷり塗って、妊娠線を予防しましょう。ただし、妊娠線は悪いものではありません。お母さんが赤ちゃんを育てるために頑張っている愛おしい証なので、もしできても落ち込まないでくださいね。
マタニティフォトを希望されている方には、この時期がおすすめです。体調と相談しながら、思い出づくりをしてみてください。
妊娠10か月~(妊娠36週~)
いよいよ妊娠10か月!もういつ生まれてもいい時期に入りました。妊婦生活もいよいよ終盤を迎えます。
検査内容 | 診察・尿検査 妊娠36週ごろには、妊娠後期検査(血液検査)・GBS検査を行います。 妊娠37週からはNSTモニター(赤ちゃんの心拍・陣痛波形の確認)が開始され、診察時に内診も始まります。 |
赤ちゃんの様子 | 2,500~2,800gほどになっています。 この頃には羊水を飲んで、母乳を飲む練習をしています。 産まれる準備として、赤ちゃんの頭が骨盤の中に下りてきます。 |
お母さんの様子 | お腹が大きくなり、何をするにもつらい時期です。 乳頭を刺激すると乳汁が出るようになります。 生理痛のような痛みが繰り返し起きることがあります(前駆陣痛)。 出産が近づくと、「おしるし」と呼ばれるドロッとした出血が見られることがあります。 |
お父さんにできること
お腹の赤ちゃんにたくさん話しかけてあげましょう。
「もし陣痛が来たら…」「もし破水をしたら…」など、万が一に備えて、自分がどのように動けばよいのかシミュレーションをしておきましょう(家にいるとき、外出中、仕事中に連絡が来たときなど)。
立ち会い出産を希望されている方は、出産について調べたり、立ち会い出産を経験した方の体験談などを参考にしてみるのも良いかもしれません。
注意点
- 妊娠36週に入る頃には、いつでも入院できるように、入院物品をバッグにまとめておきましょう。
- 妊娠37週からは「正期産」の時期に入ります。
- 予定日が近づくと胎動が減る…と聞いたことがある方も多いかもしれませんが、胎動がまったくなくなることはありません。
毎日、胎動があるかどうかを確認しましょう。胎動の減少や消失が気になる場合は、必ず医療機関に連絡してください。
助産師からのアドバイス
乳房・乳頭の手入れを始めましょう。早い人では刺激をすると母乳が出る場合があります。身体が授乳の準備をしている証拠なので、びっくりする必要はありません。きれいなガーゼなどでふき取って、しっかり保湿をしましょう。
そろそろ赤ちゃんが生まれる瞬間が近づいてきています。お母さん、お父さん、もうすぐ赤ちゃんに会えますよ。初めて会う赤ちゃんにどんな言葉をかけてあげようかな…と、その瞬間のことを想像しながら楽しみに待ちましょう。
予定日を過ぎたのに陣痛が来ないことに不安を感じる方もいると思います。入院が必要な場合はきちんと産婦人科の医師から説明をしますので、安心してください。きっと赤ちゃんはお母さんのおなかの中の居心地がよく、もっと一緒にいたいと思っているのでしょう。生まれてこないことに不安を感じるよりも、残り少ない赤ちゃんとの時間を満喫しましょう。
妊娠全期間を通して知っておいてほしいこと
こんな症状がある時には必ず病院に連絡をしましょう
- 出血、腹痛、腹部の張り、水っぽいおりもの(帯下)
- 胎動の減少や消失
- 頭痛、目の前がチカチカする、めまい
- 食事や水分が摂れない
- いつもと何か違う、おかしいなと感じる時
これからお父さんになるあなたへ
まだ「お父さん」と言われても、実感が湧かないかもしれません。ですが、あと数か月であなたの赤ちゃんがこの世に誕生します。
きっと、あなたの「妻」はあなたより一足先に「お母さん」になるでしょう。あなたも少しずつでよいので、「お父さん」になる準備を始めましょう。
あなたにできる4つのことを伝えます。
- 家事を積極的に行いましょう
食事の準備、洗濯、掃除、買い物など家事は積極的に行いましょう。 - 開いてを傷つける言葉に気をつけましょう
妊娠・出産により、女性の身体にはさまざまな変化が訪れます。見た目も変わることがあるでしょう。その変化に関して、決して傷つけるような言葉を口にしないでください。 - 「知ろうとする努力」をしましょう
「わからない」で終わらせず、「知ろうとする努力」をしましょう。赤ちゃんの服や哺乳瓶など、初めて目にするものばかりで戸惑うこともあるかもしれません。しかし、それはお母さんも同じです。一緒に学び、成長していきましょう。 - 感謝の気持ちを伝えましょう
お母さんの頑張りを労い、感謝の気持ちを伝えるようにしましょう。「ありがとう」と言葉で伝えることはとても大切です。
お母さんと赤ちゃんを守れるのは、他でもないあなただけです。母子ともに元気に生まれてくれることは奇跡です。妊娠中にあなたが頑張ってくれたことをお母さんは必ず覚えてくれいます。急には難しいこともあると思いますが、夫婦で一緒に「親」になる準備をしていきましょう。