リウマチ科

リウマチ・膠原病内科

リウマチ性疾患・膠原病とは

人間に限らず、動物には一般的に免疫という生体防御のための機構が備わっています。この機構により「自己」と「非自己」とを識別し、細菌やウイルス、悪性腫瘍(がん)細胞などの有害な「非自己」を攻撃・排除し生命の維持を図っています。しかし、このような生体防御機構が何らかの事情により破綻すると、「自己」を「非自己」と誤って認識し攻撃してしまうことがあります。このような免疫システムの異常により発症するのが自己免疫性疾患です。そのうち、リウマチ性疾患・膠原病は単一のみならず複数の臓器に病変が及びうる慢性進行型の炎症性疾患であり、多彩な臨床症状を呈するのが特徴です。

このようなリウマチ性疾患・膠原病がどのようにして発症するのかというメカニズムについては、今なお不明のところが多く完全に解明されているわけではありませんが、さまざまな研究により新たな知見が示されるようになってきました。そしてこれらの成果を基にして新たな治療法が次々に提示されています。たとえば関節リウマチ治療で用いられる生物学的製剤は、他のいくつかの膠原病に対しても有効であることが示されるなどしています。

当院では患者の皆様からのニーズに応えるべく平成23年4月にリウマチ・膠原病センターを開設し、初代センター長に山村昌弘が就任しました。ステロイドや各種免疫抑制剤のほか、生物学的製剤の導入も積極的に進め、実績をあげてきています。併せて、当院腎臓病センターなどのスタッフとも緊密に連携し、現在、年間のべ約5000名の外来症例およびのべ約250例の入院症例を扱っています。

当科が扱う対象疾患の例

  • 関節リウマチ
  • シェーグレン症候群
  • 全身性エリテマトーデス
  • 抗リン脂質抗体症候群
  • 多発性筋炎
  • 皮膚筋炎
  • 強皮症/全身性硬化症
  • 混合性結合組織病
  • 血管炎症候群(顕微鏡的多発血管炎、多発血管炎性肉芽腫、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症、IgA血管炎、結節性多発動脈炎、高安動脈炎、巨細胞性動脈炎)
  • 成人発症スティル病
  • 再発性多発軟骨炎
  • サルコイドーシス
  • リウマチ性多発筋痛症、RS3PE症候群
  • 結晶誘発性関節炎(痛風、偽痛風(CPPD関節炎))
  • ベーチェット病
  • 血清反応陰性脊椎関節炎(強直性脊椎炎、反応性関節炎、乾癬性関節炎)
  • IgG4関連疾患(ミクリッツ病、自己免疫性膵炎など)
  • 自己炎症性疾患(CINCA症候群など)
  • 若年性特発性関節炎
  • 好酸球増多症候群

当科が扱う指定難病

  • 全身性エリテマトーデス
  • 原発性抗リン脂質抗体症候群
  • 多発性筋炎
  • 皮膚筋炎
  • 全身性強皮症
  • 混合性結合組織病
  • 血管炎症候群(顕微鏡的多発血管炎、多発血管炎性肉芽腫、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症、、結節性多発動脈炎、高安動脈炎、巨細胞性動脈炎)
  • 成人スチル病(2015年1月1日施行の新規指定難病)
  • 再発性多発軟骨炎
  • サルコイドーシス
  • ベーチェット病
  • 強直性脊椎炎(2015年7月1日施行の新規指定難病)
  • IgG4関連疾患(2015年7月1日施行の新規指定難病)
  • 全身型若年性特発性関節炎
  • 悪性関節リウマチ
  • シェーグレン症候群(2015年1月1日施行の新規指定難病)
リウマチ・膠原病_指定難病認定者数グラフ_2023
当院での生物学的製剤使用状況(2020年2月現在)

外来患者数

2018年度2019年度2020年度2021年度2022年度
のべ患者数6,5487,3806,4507,0086,991
初診患者数391552209184150
患者実数1,7062,3051,5871,5761,607
リウマチ・膠原病科通院患者病名(約980名)
リウマチ・膠原病科通院患者病名(約980名)

入院患者数

入院患者数
(のべ)
平均在院日数
20114416.0
20127613.4
20138317.4
20148818.4
201521318.5
201620414.8
201722614.0
201821214.9
201919414.4
202013615.1
202110815.2

 現在進行中の臨床研究

  • 脊椎関節炎患者を対象としたセクキヌマブ(IL-17A抗体)第Ⅲ相臨床試験
  • 関節リウマチ患者を対象としたフィルゴチニブ(JAK-1選択的阻害剤)の第Ⅲ相試験
  • 関節リウマチ患者の臨床実態調査(CorEvitas Japan RA Registry)
  • 関節リウマチ患者を対象としたGSK3196165(抗GM-CSF抗体)の第Ⅲ相試験
  • リウマチ性多発筋痛症における再発危険因子に関する検討
  • リウマチ性疾患治療中に生じた COVID-19 感染症に関する研究
  • 我が国の若年全身性エリテマトーデス患者の現状と妊娠転帰を含む長期・短期予後に関する前向きコホート研究

治験の実施について

  • 脊椎関節炎患者を対象としたセクキヌマブ(IL-17A抗体)第Ⅲ相臨床試験
  • 関節リウマチ患者を対象としたフィルゴチニブ(JAK-1選択的阻害剤)の第Ⅲ相試験
  • 活動性強直性脊椎炎におけるUpadacitinibの有効性及び安全性を評価する他施設共同無作為化二重盲検プラセボ対象比較試験
  • 関節リウマチ患者を対象としたGSK3196165(抗GM-CSF抗体)の第Ⅲ相試験
2024年12

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