血圧のお話~高血圧を見逃さないために
「血圧」とは、心臓から全身に送り出される血液が血管の内側に与える圧力のことです。
心臓が収縮しているときの血圧を収縮期血圧(いわゆる「上の血圧」のこと)、心臓が拡張しているときの血圧を拡張期血圧(「下の血圧」のこと)と呼びます。
血圧測定はご家庭でリラックスした状態でおこないましょう
血圧は1日のなかでも変動します。
また、病院と家庭での血圧の値も違いがあります。
病院の診察室では緊張してしまい、血圧が高くなるといわれています。
そのため、精神的にリラックスしている家庭での血圧測定が重要です。
日本高血圧学会では、起床時と寝る前の毎日決まった時間帯に測定することを推奨しています。
血圧測定のタイミング
- 起床後:起きて1時間以内、トイレをすませ、服薬や食事の前に測定すること
- 寝る前:入浴後1時間以上時間をあけて測定すること
※日本高血圧学会より
正しい血圧測定の方法は?
血圧が高くても自覚症状がないことがあります。
気がついたら高血圧だった、ということがないように、まずは血圧を測定してみましょう。
一般的な血圧計は「上腕血圧計」で、家電量販店や薬局で購入することができます。
血圧測定の正しい姿勢は、下図を参考にしてください。
そして、測定した値は毎日ノートに記入して、医療機関に受診する時に持参することをおすすめします。
血圧が高いとどうなるの?
高血圧の基準は、家庭血圧(家庭で測定した血圧値)で135/85mmHg 以上、診察室血圧(病院の診察室で測定した血圧値)では140/90mmHg 以上といわれています。
高血圧の状態が続くと心臓や血管に負担がかかり、心筋梗塞や脳卒中のような重篤な病気を引き起こします。
腎臓の血管にも影響があるため、腎臓の機能を低下させてしまいます。
家庭血圧:血圧値の分類(成人)
分類 | 家庭血圧(mmHg) | ||
収縮期血圧 | 拡張期血圧 | ||
正常血圧 | <115 | かつ | <75 |
正常高値血圧 | 115-124 | かつ | <75 |
高値血圧 | 125-134 | かつ/または | 75-84 |
Ⅰ度高血圧 | 135-144 | かつ/または | 85-89 |
Ⅱ度高血圧 | 145-159 | かつ/または | 90-99 |
Ⅲ度高血圧 | ≧160 | かつ/または | ≧100 |
(孤立性)収縮期高血圧 | ≧135 | かつ | <85 |
出典:高血圧診療ガイドライン2019
診察室血圧:血圧値の分類(成人)
分類 | 診察室血圧(mmHg) | ||
収縮期血圧 | 拡張期血圧 | ||
正常血圧 | <120 | かつ | <80 |
正常高値血圧 | 120-129 | かつ | <80 |
高値血圧 | 130-139 | かつ/または | 80-89 |
Ⅰ度高血圧 | 140-159 | かつ/または | 90-99 |
Ⅱ度高血圧 | 160-179 | かつ/または | 100-109 |
Ⅲ度高血圧 | ≧180 | かつ/または | ≧110 |
(孤立性)収縮期高血圧 | ≧140 | かつ | <90 |
出典:高血圧診療ガイドライン2019
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塩分の摂りすぎには要注意
また、高血圧となる原因の一つに「塩分の摂りすぎ」があります。
高血圧になる流れ
- 塩分の多いものを食べる
- 喉が渇く
- 水を飲む
- 血液量の増加
- 血圧上昇へ
塩分の摂りすぎにはくれぐれも注意してください。
血圧は体の状態を表す大切な指標です。血圧測定をぜひ習慣化してみてください。
参考文献
高血圧診療ガイドライン2019
※本記事は広報誌「やわらぎ」(185号:2023秋号)に掲載したものをWEB用に再編集したものです。
この記事を書いた人
原田 有利子(はらだ ゆりこ)
所属
岡山済生会総合病院
資格
- 腎不全看護特定認定看護師